Vol.82 Wi-Fi 6とメッシュ(Mesh) Wi-Fi、どちらを選ぶ?
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

Wi-Fi 6とメッシュ(Mesh)Wi-Fi、どちらを選ぶ?

Wi-Fi 6とメッシュ(Mesh) Wi-Fi、どちらを選ぶ?

引越しなどで自宅にインターネット回線を引いたとき、用意しないといけないのがWi-Fiルーターです。一口にルーターといっても、その種類はさまざま。性能だけでなく、しくみが根本的に異なる物もあります。

特に現在、注目を集めているのが、最新技術を採用した「Wi-Fi 6」と「メッシュ(Mesh) Wi-Fi」の2つ。それぞれどんな特徴を持っているのか、どちらを選べばいいのか、どんなライフスタイルに適しているのかを比較していきましょう。

高速通信と安定性に優れた最新規格「Wi-Fi 6」

高速通信と安定性に優れた最新規格「Wi-Fi 6」

Wi-Fi 6は、今年登場したばかりのWi-Fi(無線LAN)テクノロジーです。
現在、主流となっているWi-Fi(無線LAN)は「IEEE 802.11」という規格にアルファベットをつけて世代を区別しており、その最新の世代となる「IEEE 802.11ax」の別名が「Wi-Fi 6」となります。

速度、安定性、省電力性能ともに文句なし

前規格の「Wi-Fi 5」に比べて、Wi-Fi 6はあらゆる点が進化しています。通信の最高速度は約1.4倍の9.6Gbpsで、通信の混雑に強いという特徴があります。1つのルーターに複数の機器を接続しているような状況で、特にその恩恵を強く感じられるでしょう。

また、省電力化が図られているため、接続したスマートフォンやタブレットといった機器のバッテリーが長持ちするという、うれしい特性も持っています。

新しい規格なので選択肢の幅がやや狭い

Wi-Fi 6の欠点は、登場して日が浅い規格であるため、価格がやや高めなことです。従来のWi-Fi(無線LAN)にも互換性があるため、Wi-Fi 6のルーターを購入して「インターネットが使えない!」ということにはなりませんが、非対応の機器で使う場合はWi-Fi 6ならではの性能をフルに発揮することはできません。
まだ、Wi-Fi 6対応のルーター自体の数が少なく、現時点での選択肢が限られているところも気になります。Wi-Fi 6対応のルーターは、エレコムからは「WRC-X3000GS」が発売されています。

広い家で快適にインターネットを楽しめる「メッシュWi-Fi」

広い家で快適にインターネットを楽しめる「メッシュWi-Fi」

メッシュWi-Fiとは、1台ではなく複数台のルーターを自宅の各所に設置することで、「メッシュ(網の目)」のように電波を張り巡らせる技術です。電波は障害物に弱く、一戸建てや広いマンションのように部屋がたくさんあると、壁や天井に遮られて弱まってしまいます。ルーターが置いてあるのとは別の部屋でWi-Fi(無線LAN)につないでも、なかなか速度が出なくてイライラした経験は、誰しも一度はあるでしょう。

メッシュWi-Fiは、正確にいうとWi-Fi 6やWi-Fi 5とは独立した技術ですので、現在販売されている製品だと「Wi-Fi 5(メッシュWi-Fi対応)」といったものになります。

遠い場所にも電波が届き、複数台の機器でも安定

メッシュWi-Fiでは、サテライトルーターと呼ばれるサブのルーターを設置し、メインのルーターと電波をやりとりして大きな電波網を作り上げます。スマートフォンやタブレットなどの機器は、自動的に最適なサテライトルーターに接続し、場所を移動する度に最適なルーターに接続し直します。ルーターはシームレスに切り替わるので、自分で操作する必要はなく、常に安定した通信環境を保てるのが特徴です。
また、メインルーターとサテライトルーターに接続が分散するため、1つのルーターへの負荷が少なくなり、電波が途切れるなどのトラブルも減り、通信が安定します。

ルーターの数だけ費用がかかる

元々、電波が行き届きやすいワンルームなどでは、メッシュWi-Fiの恩恵は感じにくいでしょう。また、通信は安定しますが、サテライトルーターに電波を分けるため、最高速度は少しだけ落ちることがあります。

そして、費用もかかります。メインのルーターとサテライトルーターはお互いに対応した物を使う必要があるので、元からあるルーターを流用することができず、一式を買い替えることになります。また、自宅が広い場合は、必要なサテライトルーターの数が多くなるかもしれません。
なお、エレコムからはメインルーターとサテライトルーターがセットになった「WMC-DLGST2-W」が発売されています。

ルーターの数だけ費用がかかる

Wi-Fi 6とメッシュWi-Fiはどんな人におすすめ?

どちらもメリットとデメリットがあるWi-Fi 6とメッシュWi-Fiですが、それぞれどんな人に向いているのでしょうか。

まず、ワンルームで一人暮らしをしているような場合は、Wi-Fi 6がベストでしょう。室内に電波は十分に行き届きますし、Wi-Fi 6のスピードや安定性、省電力などの恩恵を十分に受けることができます。仕事や趣味の関係で、できるだけ高速な通信を必要とする場合もWi-Fi 6にすべきでしょう。

一方、広い家に家族で住んでいて、いろいろな場所で複数人がインターネットを使うという場合は、メッシュWi-Fiがおすすめです。現在販売されているメッシュWi-Fi対応ルーターはWi-Fi 5の規格なので、最高速度はWi-Fi 6に一歩譲りますが、どこにいても途切れることなく、安定して接続することができます。

選択肢の多さと十分な性能を持ったWi-Fi 5もおすすめ

選択肢の多さと十分な性能を持ったWi-Fi 5もおすすめ

ここまでは、最新のWi-Fi 6とメッシュWi-Fiを比較してきましたが、実はもう1つの選択肢があります。それが、IEEE 802.11acの別名であるWi-Fi 5です。
Wi-Fi 5はWi-Fi 6の1つ前の規格で、現在最も広く普及しています。

Wi-Fi 6に対応した機器はまだそれほど多くない

なぜ1つ前の世代の製品をおすすめするのかというと、Wi-Fi 6は前述したように登場から日が浅く、対応している機器があまり多くありません。例えば、iPhoneがWi-Fi 6に対応したのは、2019年発売のモデルからです。2018年以前のiPhoneを使っている人は、Wi-Fi 6の性能を十分に味わえません。

もちろん、Wi-Fi 5への下位互換性を持っているので古い機器でも問題なく使えるのですが、そもそもWi-Fi 6のルーター自体まだ製品数が少なく、選択肢が限られています。さらに、最新技術が採用されているだけあって、価格も高くなっています。

そこまで高性能を求めないならWi-Fi 5も十分選択肢に入る

Wi-Fi 5はすでに普及している規格だけに、製品のラインナップも充実しており、環境や予算、デザインの好みなどに合わせて柔軟に選ぶことができます。Wi-Fi 6ほどではないとはいえ、Wi-Fi 5でも通信速度は最大6.93Gbpsとかなりのもの。普通に使っていて不満を感じることは少ないでしょう。エレコムからは、Wi-Fi 5対応の「WRC-2533GST2」が発売されています。

最高速度と安定性を追求したWi-Fi 6、広い自宅内での快適さを重視したメッシュWi-Fi、そして選択肢が多く最適な製品が見つかりやすいWi-Fi 5。
それぞれのライフスタイルに合わせて、ベストなWi-Fi(無線LAN)を選んでください。

そこまで高性能を求めないならWi-Fi 5も十分選択肢に入る