Vol.71 Wi-Fi(無線LAN)の周波数帯の特徴とは?
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Wi-Fi(無線LAN)の周波数帯の特徴とは?

Wi-Fi(無線LAN)は、電波でインターネットに接続する技術ですが、電波の周波数帯の違いによって、ネットの通信速度などの特徴が異なることはご存じでしょうか。 ここでは、電波の周波数帯の種類と快適なネット利用の関係、そしてネット利用に支障が生じた場合の改善策などについてご紹介します。


Wi-Fi(無線LAN)の周波数帯と通信規格の関係

周波数帯とは、無線通信を行う際の、電波の周波数の範囲を示したものになります。周波数が大きいほど、通信速度が高速になります。また、Wi-Fi(無線LAN)にはWi-Fi Allianceが定めた規格がいくつかあり、それらに対応する周波数帯は現在3つあります。この規格は年々進化・更新され、より電波干渉を抑えた高速通信が可能となっています。

以下が、歴代の通信規格と使用周波数帯の対照表です。

<Wi-Fi(無線LAN)の通信規格>

Wi-Fi規格名 最大通信速度 使用周波数帯
IEEE 802.11b 11Mbps
※オプション規格の22Mbpsもあり
2.4GHz
IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz
IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz
IEEE 802.11n 65M~600Mbps 2.4GHz/5GHz
※自動的に周波数帯を切り替えて接続可能
IEEE 802.11ac 290Mbps~6.9Gbps 5GHz
IEEE 802.11ad 6.7Gbps 60GHz

上記のうち、現在普及しているWi-Fiルーターの電波規格は「IEEE 802.11ac」と「IEEE 802.11n」の2種類で、使用されている周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯です。

11acの電波に対応しているWi-Fiルーターは、11nの電波を飛ばすこともできる互換性があるのが一般的です。11ac対応のWi-Fiルーターであっても、PCやスマホなどの端末(子機)が11acに対応していない場合は、Wi-Fiルーターが自動的に11nの電波に切り替えることになります。しかし、逆に11nのWi-Fiルーターが11acの電波を飛ばすことはできません。

2.4GHz帯と5GHz帯の電波の特徴

2.4GHz帯の電波は、1秒間に24億回の波を描きながら進み、5GHz帯の電波は1秒間に50億回の波を描き、どちらも「マイクロ波」と呼ばれています。では、それぞれの周波数帯の特徴と、メリット・デメリットを見てみましょう。

<2.4GHz帯の電波の特徴>

2.4GHz帯の電波は、電子レンジやIHクッキングヒーター、コードレス固定電話、ワイヤレスヘッドホン、Bluetooth機器などにも使われている、普及型の周波数帯です。

メリット デメリット
・対応機器が多い
・障害物に強い
・安価
・電波同士が干渉しやすい

普及型の周波数帯だけあって対応機器が多く、現状は多くのWi-Fi機器に接続することが可能です。また、Wi-Fiルーターも安価で、通信のコストダウンになります。さらに、障害物に比較的強く、分厚い壁なども通っていく可能性がありますので、見通しの良くない室内でも電波が行き渡りやすくなります。

ただし、2.4GHz帯の電波を使用する家電や機器同士が影響を受け、お互いに電波を打ち消し合う「干渉」を起こしてしまうことがあります。また、近隣のWi-Fiルーターから2.4GHz帯の電波が飛んできて、干渉を起こすことも…。いったん電波干渉が生じると、インターネット通信の速度が低下したり、接続が突然途切れたりすることがあります。

<5GHz帯の電波の特徴>

5GHz帯の電波はWi-Fi(無線LAN)以外ではほとんど使われておらず、他の家電や電子機器が多い環境でも電波干渉が起きにくいのが特徴です。

メリット デメリット
・2.4GHz帯に比べて通信速度が速い
・電波の干渉を受けにくい
・対応機器が少ない
・障害物に弱い
・高価

同じWi-Fi(無線LAN)対応の機器でも、PCやスマートフォン、Web対応テレビなど、大量のデータを送受信する物は、2.4GHz帯に比べて5GHz帯のWi-Fi(無線LAN)のほうが安定して利用することができます。今後、スマート家電やIoT(※)の普及が進むにつれ、5GHz帯の電波で通信するデバイスが増えていく可能性はありますが、現時点で対応機器は多くありません。ただしその分、電波干渉を受けにくいというメリットがあります。

※IoT:モノのインターネット。パソコンやスマートフォンといった通信機器だけでなく、テレビやデジカメ、HDDレコーダーなどの家電もインターネットに接続されていくこと。

また、5GHz帯の電波は、比較的障害物に弱い傾向にあるのも特徴です。そのため、企業のオフィスなど、見通しが良くて電波ノイズの発信源となる機器が多い環境であれば、5GHz帯の電波を採用したWi-Fi(無線LAN)のほうが快適で使いやすいといえます。

電波干渉をチェックできるツール

2.4GHz帯の電波で心配されるのが、電波干渉によってネット接続が不安定になってしまうことです。Web上では、現在の電波干渉の状況をリアルタイムで監視することができるソフトウェアも配布されています。目に見えない電波状況を、PCの画面上で数値やグラフなどで視覚化できますので、ネット接続における品質低下の原因を客観的に把握することができます。

同じ2.4GHz帯でも、一般的に1~13のチャンネル(データの送受信に必要な周波数の幅)で、段階的に異なる周波数を利用することができます。近くに、同一のチャンネルを使っているWi-Fiルーターがあると干渉を起こし、通信速度が低下する可能性があるのです。そんなときは、Wi-Fiルーターの管理画面からチャンネルを変更することで、通信状況が改善されることがあります。

このような、ほかの電波とのチャンネル重複を把握できるソフトウェアもあります。干渉が起きている場合、4~5チャンネル程度離さなければ改善されないといわれています(隣り合ったチャンネルでは周波数が近いため)。例えば、2chで干渉が起きているときは、6chか7chに変更するといいでしょう。