WPSでエアコンをWi-Fi(無線LAN)に接続する方法と、できないときの対処法
夏の暑さや冬の寒さを緩和してくれるエアコンは、現代の生活になくてはならない家電のひとつです。最近は、Wi-Fi(無線LAN)でインターネットに接続して、一部の操作をリモートコントロールできるエアコンが発売されています。Wi-Fi(無線LAN)の接続は手間がかかるイメージがありますが、WPSという機能を利用すれば、誰でも簡単に接続することが可能です。
ここでは、WPSを使ってエアコンをWi-Fi(無線LAN)に接続する方法と、接続できない場合の対処法をご紹介しましょう。
WPSとは?
WPSは、Wi-FiルーターとWi-Fi(無線LAN)対応端末(ノートPC、携帯ゲーム機など)を、ボタンひとつで簡単に接続できる仕組み(規格)です。まずは、WPSの基礎情報をご紹介しましょう。
WPSの仕組み
通常、Wi-Fi(無線LAN)の親機(Wi-Fiルーター)と子機(Wi-Fi対応端末)を接続する場合、親機の名前(SSID)やパスワードを調べ、子機側でそれらを入力して接続設定する必要があります。しかし、お互いがWPSに対応していれば、WPSボタンを押すだけで、接続設定が完了します。一度接続すれば、その後も再設定することなく自動的に接続することができます。
なお、WPSは最新のWi-Fiセキュリティプロトコルである「WPA3」に対応しておりません。WPA3を利用したい場合は、ご注意ください。
WPSの名称はメーカーによって異なる
WPSは便利な規格ですが、メーカーのカタログなどを見ても、搭載していないWi-Fiルーターもあります。ですが、これはメーカーによってWPSの名称が異なるだけで、機能自体はWPSと同じです。
例えば、エレコム製のWPS対応Wi-Fiルーターでは、WPS機能を「かんたんセットアップ」という名称で商品パッケージや公式サイトに記載しています。
WPSによるエアコンとWi-Fiルーターの接続方法
最近のエアコンの中には、インターネットに接続することで、スマートフォンやスマートスピーカーなどから、温度や冷暖房をコントロールできるモデルも発売されています。
WPS機能を使ってWi-Fiルーターとエアコンを接続するには、エアコンがWi-Fi(無線LAN)機能つきかどうかで少し異なります。
Wi-Fi(無線LAN)機能つきエアコンの場合、エアコン本体やリモコンのWPSボタンを押し、接続したいWi-FiルーターのWPSボタンを押すことで、お互いの接続設定が完了します。エアコンのリモコンにWPSボタンがなくても、メニュー項目からWi-Fi(無線LAN)機能を呼び出せる場合がありますので、エアコンの説明書を確認してみましょう。
また、本体にWi-Fi(無線LAN)機能がないエアコンでも、Wi-Fi(無線LAN)アダプターを装着することでインターネット接続に対応する製品もあります。Wi-Fi(無線LAN)アダプターを使用した場合も、アダプターのWPSボタンと接続したいWi-FiルーターのWPSボタンを押して接続します。Wi-Fi(無線LAN)アダプターのメーカーや機種によっては、ネットワーク機能のオンオフを行う通信機能ボタンがあるケースもありますので、取扱説明書を読んで接続設定を行いましょう。
エアコンとWi-Fiルーターがつながらないときは?
エアコンとWi-FiルーターのWPSボタンを押しても接続できないときは、Wi-Fiルーターの設置場所を見直してください。エアコンとのあいだに障害物があったり、距離が長すぎたりする場合は、Wi-Fiルーターの電波がうまく届きません。また、WPSを使わず、Wi-FiルーターのSSIDとパスワードを直接入力することで、接続できる場合もあります。
手入力する場合、エレコムのWi-Fiルーター「WRC-2533GST2」のように、「暗号化キーラベル」(SSIDとパスワードが記載されているラベル)が本体から取り外して持ち運べるモデルであれば、SSIDとパスワードをメモする手間はいりません。
また、エアコンにWi-Fi(無線LAN)アダプターを装着するタイプの場合、通信機能ボタンがオフになっていないかを確認しましょう。
物理的にエアコンとWi-Fiルーターを同じ部屋にできない場合、後述する「メッシュ」と呼ばれる技術に対応したWi-Fi(無線LAN)機器を導入するのも有効です。
Wi-Fiルーターと家電を接続した場合、セキュリティは安全?
WPSなどでエアコンをインターネットに接続すれば、外出先からエアコンを操作できるなど便利さが増しますが、セキュリティに問題はないのでしょうか?
例えば、悪意のある第三者にWi-Fiルーターの名前(SSID)やパスワードを知られてしまうと、Wi-Fiルーター経由で家電などにも不正アクセスされてしまいます。実際、海外ではエアコンの温度設定で嫌がらせをされた例もあります。
また、スマートスピーカーからエアコンを操作している場合、スマートスピーカー経由で会話を盗聴される可能性もないとはいえません。
そこで、Wi-Fiルーターを選ぶ際には、セキュリティ対策をしているモデルを選ぶといいでしょう。エレコム社のWi-Fiルーター「WRC-2533GST2」には、悪質なサイトへの通信をブロックし、ルーターのセキュリティ機能を強化する、トレンドマイクロ社の技術を利用したセキュリティシステムが導入されています。
複数台のエアコンをWi-Fi(無線LAN)につなぐならメッシュWi-Fiを使おう
前述したように、WPSで接続設定をする場合、エアコンとWi-Fiルーターとの距離や置き場所によっては、つながらないことがあります。そのため、エアコンが複数台ある家庭では、すべての部屋のエアコンをWPSで接続設定できない場合がほとんどです。
また、WPSが使えないだけでなく、Wi-Fiルーターの電波が届かずに、手入力でも接続できない場合もあります。特に、部屋が分かれているだけでなくフロアも違うとなると、接続は困難でしょう。そんなときに活躍するのが「メッシュWi-Fi」です。
メッシュWi-Fiは、Wi-Fi(無線LAN)のエリアを広範囲に広げる技術です。メインのWi-Fiルーターのほかに、「メッシュ専用中継器」と呼ばれる補助ルーターを設置(範囲によって必要な数は異なる)することで、メッシュネットワークが完成します。
なお、これまでもWi-Fi(無線LAN)の範囲を広げるために、Wi-Fi(無線LAN)中継器の設置などで対応できましたが、メッシュWi-Fiの登場により、エリアの拡大が簡単にできるようになりました。
メッシュWi-Fiの場合、メッシュ専用中継器がメインルーターの分身として電波を送信するため、網の目(メッシュ)のようにお互いの電波を補完し合います。これにより、メインルーターの負担が減り、Wi-Fi(無線LAN)エリア全体で安定した通信が可能となります。
メッシュWi-Fiを使用すれば、メッシュ専用中継器を増やすことで複数のエアコンでもインターネットに接続することが可能になるでしょう。
メッシュWi-Fiについて詳しくは、下記のページをご覧ください。
家のすみずみまでネットが繋がる!メッシュWi-Fiで通信が安定! Happy Wi-Fi Life
メッシュWi-Fiで家中にWi-Fi(無線LAN)の電波を届けよう
WPSは便利な機能ですが、Wi-Fi(無線LAN)の電波が届く範囲でなければ使用できません。しかも、エアコンと接続するとなれば、電波が届かない部屋も出てくるでしょう。この場合、Wi-Fi(無線LAN)環境をアップデートするか、電波の届かない範囲のエアコンは無理にネットワーク接続しないという選択もあります。
ですが、新型コロナウイルスの流行に伴うテレワークやオンライン授業などの普及を考えると、自宅のネットワーク環境を見直す、いいタイミングともいえるでしょう。
例えば、エレコム製の「WMC-2HC-W」のようなメッシュWi-Fi機器を導入して、家中にWi-Fi(無線LAN)の電波が届くようにする方法もあります。この機会に、メッシュWi-Fiの導入を検討してみてはいかがでしょうか。