Vol.13 無線LANの親機と子機について
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

無線LANの親機と子機について

無線LANは親機と子機のペアで機能します。無線LANにおける親機と子機の関係について基礎知識をまとめておきましょう。

アクセスポイントとルーターの違いについて

無線LANの親機は、一般に「アクセスポイント」と呼ばれます。一般向けの無線LAN機器では、アクセスポイントは無線LANルーターに搭載されていることが多く、用途に応じてルーターモードとアクセスポイントモードを切り替えて使用できるようになっています。

アクセスポイントとは、無線LAN子機同士を接続したり、無線LANと有線LANを接続したりするための機器です。これに対し、無線LANルーターとは家庭やオフィスのLANとインターネットを接続するための機器です。

ルーターのいろいろな働きについて

ルーターに接続された子機は、インターネットへの接続が可能になるとともに、同じルーターに接続している他の子機(PC、周辺機器、スマートフォン、デジタル家電など)にもアクセスが可能になります。これは、ひとつのネットワーク(=LAN)に属することを意味します。
ルーターはすべての子機同士を結ぶハブとしての働きをしながら、同時にそれぞれの子機とインターネットを接続する役目も果たしています。といっても、実はそれぞれの子機を直接インターネットに接続しているわけではなく、インターネットの窓口はルーターが一本化して引き受け、インターネットから受信した情報をそれぞれの子機に送り、それぞれの子機から送られてきた情報をインターネットに送るという複雑な働きをしています。
このため、ルーターに接続している子機が増えれば増えるほど通信速度は低下していきます。ですから、無線LANに接続する子機が多い家庭ほど、通信速度の速いルーターを選ぶ必要があります。

さて、これらの子機のうち1台でもウイルスに感染してしまったとしたら、LAN内の他の子機にも次々にウイルスが感染してしまう可能性があります。また、外部からLAN内の機器のどれかに不正接続を許してしまうと、他の機器にも次々に不正接続されてしまう可能性があります。クレジットカード情報や銀行口座情報、パスワードなどの重要な個人情報が漏洩する危険性も考えられます。
このため、ルーターはファイアーウォールをはじめ、さまざまなセキュリティ機能を搭載しているのが一般的です。ルーターを選ぶ際はセキュリティ機能も十分チェックしましょう。

親機と子機の通信規格について

一般的に「無線LAN」と呼ばれているのは「Wi-Fi」という無線通信規格に適合している通信機器のことです。もちろん親機・子機ともにWi-Fiに適合している必要があります。
従来、無線LANには2.4GHz帯の電波が使用されてきましたが、最近では5GHz帯の電波も使用されるようになりました。最新の無線規格である11acは5GHz帯の電波を使用しています。そのため、無線LAN機器にも2.4GHz対応のものと、2.4GHzと5GHzの両方に対応しているものがありますが、一部5GHzのみ対応となっている製品もあります。
このため、新しく親機または子機を購入する/買い換える場合には、電波帯域を確認し、他の機器と接続できることを確認してから購入する必要があります。

ホットスポットのアクセスポイントについて

なお、ホットスポットなど公衆の場で使用されているアクセスポイントは、上記のような無線LANとは構造が大きく異なります。

ホットスポットのアクセスポイントには、個々の無線LAN子機がインターネットに接続するための「接続地点」の役割しかありません。そのアクセスポイントに割り振られた最大数以内の子機と同時に接続し、それぞれの子機とインターネットを結ぶ働きをします。しかし、家庭やオフィスで使用されている無線LANとは異なり、ホットスポットの多くは、同じアクセスポイントを利用している子機同士がお互いに接続できないようにしています。もしそれを可能にすると、ホットスポットはひとつのLANになってしまい、不特定多数の人間に自分の機器が共有されてしまうことになるからです。このためアクセスポイントは「それぞれの子機がインターネットに接続することはできるが、子機同士はLANでつながっているわけではない」ということで、無線LANに対して「無線WAN」と呼び分けられることもあります。