Vol.72 ブリッジ接続、ローミング、インターフェイス…。無線LANに関する9つの関連用語
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

ブリッジ接続、ローミング、インターフェイス…。無線LANに関する9つの関連用語

外出先からエアコンのスイッチを入れる、部屋の灯りを調節する、冷蔵庫が賞味期限を教えてくれるなど。あらゆるモノとネットがつながる「IoT」の時代を迎え、この先、無線LANの重要性はますます増していくと予想されます。
無線LANを経由して、家電やインテリアを遠隔操作できるのは便利ですが、ネットワークに不具合が起きたときはすべての機器が止まってしまうなど、リスクもはらんでいます。そうしたトラブルに対応するためにも、無線LANの知識は欠かせません。今回は、無線LANを使用・運用する上で、押さえておきたい9つの関連用語を解説します。


無線LANの関連用語1 ブリッジ接続

コンピューターなどの複数の端末をインターネットに接続するためには、ルーターという機器が必要です。ルーター機能がないモデムがインターネットとつながっている場合、モデムと端末のあいだにルーターを設置します。

しかし、モデム自体にルーター機能がついている場合は、別途ルーターを接続する必要はありません。ルーターを複数つなげると、ネットワークにうまく接続できないケースも出てくるからです。

それでは、無線LAN環境を整えようと、Wi-Fiルーターをルーター機能がついているモデムに接続しようとする場合、もしくは、すでにルーターを使用していて、その先にWi-Fiルーターを接続しようとする場合はどうすればいいでしょうか。そのままつなげてしまうと、ルーター機能を持つ機器が2台連なることになってしまいますよね。

この場合、Wi-Fiルーターをアクセスポイントモード(APモード)にすることで、ルーター機能をオフにできるのです。このような接続の仕方を「ブリッジ接続」といいます。

エレコムのWi-Fiルーターをアクセスポイントモードにするためには、Wi-Fiルーターの背面にある「AP/RT」と書かれたスイッチを、AP側にスライドさせます。スイッチがない場合は、管理画面から設定できます。

無線LANの関連用語2 IPアドレス

「IPアドレス(Internet Protocol Address)」とは、ネットワーク上にある機器のそれぞれに割り振られる番号のことです。ネットワーク上で通信相手を識別するための住所のようなものです。

通常、255.255.255.255のように、4つの0~255の数字をドットで区切ったもので表され、1端末に1つのIPアドレスの割り振りが原則となっています。

IPアドレスは、大きく2つに分かれます。社内LANのような閉じたネットワーク環境下で使われるIPアドレスを「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」といい、インターネットに直接つながっている世界中の機器に割り振られているIPアドレスを「グローバルIPアドレス」といいます。

個人がプロバイダーと契約してインターネットを利用する場合、接続する度に、異なるグローバルIPアドレスが、プロバイダーから自動的に割り振られるしくみとなっていることが多いです。これを「動的IPアドレス(変動IPアドレス)」といいます。

一方、常に同じIPアドレスのことを、「固定IPアドレス(静的IPアドレス)」といいます。固定IPアドレスは、企業が自社でサーバーを設置する場合や、外からリモートアクセスする場合などに必要となります。

今後、さらにインターネットに接続する機器が増えていくと、割り振ることのできるグローバルIPアドレスがなくなり、枯渇状態になってしまいます。そのため、IPv6と呼ばれる、さらに大きい数値を使った新たなIPアドレスも生まれています。

無線LANの関連用語3 MACアドレス

「MACアドレス(Media Access Control address)」は、ネットワークにつながる機器のそれぞれに割り振られた固有の番号です。物理アドレスとも呼ばれ、ネットワーク上の機器を識別するために使われます。

12-34-56-AB-CD-EF、または12:34:56:AB:CD:EFのように、0~9の数字とA~Fまでの文字で構成された12桁でMACアドレスは成り立ちます。前半の6桁は「OUI(Organizationally Unique Identifier)」と呼ばれるメーカー固有のアドレス、後半6桁が製品個々のアドレスという構成になっています。

MACアドレスは、機器の製造段階で割り振られますので、基本的に変更はできません。変更が可能なIPアドレスを「住所」だとすると、MACアドレスは変えることができない「名前」であるということができるでしょう。

MACアドレスはネットワーク認証に使われます。特定の機器だけにネットワーク通信を許可したい場合、その機器のMACアドレスだけがネットワークに接続できるように設定しておくと、MACアドレスが登録されていない機器は、そのネットワークにはつながりません。

無線LANの関連用語4 モジュール

一般的にモジュールとは、入れ替えができる部品のことを指します。

無線LANの世界では、PCのUSBポートにつけることで無線LANにつなぐことができる外付け製品を「モジュール」といいます(「無線LANアダプタ」とも呼ばれます)。無線LAN機能がないノートパソコンやテレビなどの家電のほか、プリンターなどにモジュールを取り付けることによって、Wi-Fiルーターの子機とすることができます。モジュールの種類によって、通信速度が変わります。

無線LANの関連用語5 ローミング

ローミングといえば、契約プロバイダーのエリア外でも、そのプロバイダーと提携をしている会社が運営している無線LANなどのインターネット接続サービスが利用できる技術や環境のことを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

違う会社同士での接続サービスの連携だけではなく、あるWi-Fiルーターから違うWi-Fiルーターへ自動的に接続先を切り替えることも「ローミング」といいます。つまり、無線LANが移動中でも途切れることなく使える技術のことを指しています。

会社のフロアがいくつもの階にまたがっている、もしくは広い場合、接続しているWi-Fiルーターから離れてしまうと、ネットワークが遅くなったり、切れてしまったりします。

しかし、ローミング機能を搭載したWi-Fiルーターが複数ある場合は、自動的に電波状態が良いWi-Fiルーターにつながるため、たとえ席を移動しても、ネットワークへの再接続の手間がなくなります。

無線LANの関連用語6 SSID

「SSID(Service Set Identifier)」とは、Wi-Fiルーターの横や底面などに書かれている最大32文字の英数文字のことです。スマホなどで無線LANの設定をする際に選択できるアクセスポイントも、それぞれSSIDを持っています。つまり、SSIDとはアクセスポイントの「名前」のことで、無線LANの親機になれる物すべてがSSIDを持っているのです。

SSIDがあることで、複数のアクセスポイントがあった場合、自分が接続しようとしている無線LANを見分けることができます。

注意しなければいけないのがセキュリティです。SSIDに紐付くパスワードが知られてしまうと、誰でもそのネットワークに入ることができます。したがって、Wi-Fiルーターの横や底面にある、SSIDの隣に記載されているパスワードは、人の目にふれないよう、厳重に管理しましょう。パスワードは「ネットワークセキュリティキー」などと表記されていることがあります。もし、不正アクセスを発見したら、SSIDやパスワードを変更するのが対抗策のひとつです。

無線LANの関連用語7 WEP

ケーブルを使わず、電波を利用してデータのやりとりを行う無線LANでは、セキュリティを気にしなければいけません。電波が傍受されてしまうと、データが第三者に丸見えになってしまいます。

そこで、安全にデータ通信が行えるように、アクセスポイントと端末のあいだでやりとりされているデータを暗号化する技術が生まれました。

「WEP(Wired Equivalent Privacy)」は、1997年に登場した最初の無線LANの暗号化規格です。

当初はLANケーブルにも匹敵するセキュリティといわれていましたが、現在では、ほんの数分で暗号が解読されてしまうようになってしまいました。過去の機器との互換性もあって、まだWEPは使うことはできますが、よほどの理由がない限り、使い続けるリスクは高いといえます。

無線LANの関連用語8 WPA-PSK、WPA2-PSK

脆弱性が高いWEPに代わって登場した暗号化規格が「WPA-PSK(Wi-Fi Protected Access–Pre Shared Key)」です。WPA-PSKはWEPよりもセキュリティ性能が高く、現在はさらにセキュリティが強化された「WPA2-PSK」という暗号化規格が存在します。

これら2つの規格には、TKIP、AESと呼ばれる2種類の暗号化方式/アルゴリズムが組み合わされます。「WPA-PSK(TKIP)」「WPA-PSK(AES)」「WPA2-PSK(TKIP)」「WPA2-PSK(AES)」の4つの組み合わせの中で、最も強度なセキュリティは「WPA2-PSK(AES)」の組み合わせになります。

・TKIP

「TKIP(Temporal Key Integrity)」は、WEPを改良し、よりセキュリティの強度を高めたものです。端末ごとに異なった暗号キーが与えられ、さらにデータの通信料が一定量を超える、または一定時間が経つと暗号キーが更新されますので、安全なデータのやりとりを行うことができます。

・AES

「AES(Advanced Encryption Standard)」は、TKIPよりもさらに安全性を向上させた暗号化技術です。128~252bitの暗号化キーを用いており、より強力に暗号化が可能な技術です。

無線LANの関連用語9 WPS

「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」とは、Wi-Fiの接続設定をワンタッチのボタン操作だけで行えるようにした機能のことです。

このボタンは、多くの場合、WPS機能のあるWi-Fiルーターの背面や上部についています。必要なのは、パソコンやスマートフォンなどでWPSの設定画面を開き、定められた手順を進めたあとにWPSボタンを押すことのみです。

これだけの操作で、簡単にWi-Fiにつなげることができます。SSIDやパスワードを入力する手間が省けるだけでなく、誤入力の心配もありません。ただし、WPS接続するためには、Wi-Fiルーターに接続しようとしている端末側にも、WPS機能がついている必要があります。

ファイヤーウォール機能が作動していると、WPS接続できないこともあります。これを防ぐためには、セキュリティソフトを一時的に「無効」にして、再度接続してみましょう。また、Wi-Fiルーターと端末が離れ過ぎていると、認識されませんので注意しましょう。