Vol.53 Wi-Fiルーターの選び方、5つのポイントを解説
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

Wi-Fiルーターの選び方、5つのポイントを解説

Wi-Fi(無線LAN)を使うときは、電波を飛ばすWi-Fiルーターという機器を使用する必要があります。Wi-Fiルーターには、モデムに接続する高性能な据え置き型もありますし、外出先や旅行先にも気軽に持ち運べるポータブルWi-Fiルーターも人気です。
Wi-Fiルーターを選ぶ際には、どのような性能を判断基準にすればいいのでしょうか?


Wi-Fiルーターの選び方

最初にお断りしておきますが、よほど専門的な場合でない限り、「無線ルーター」「無線LANルーター」「Wi-Fiルーター」は、一般的にすべて同じ意味で使われます。「ルーター」を「ルータ」と表示してある場合も同様です。ここでは混乱を避けるため「Wi-Fiルーター」に統一して話を進めます。

Wi-Fiルーターの基本性能は、おもに下記の5つで知ることができます。

  • ・通信規格
  • ・最高速度
  • ・有線LANの速度
  • ・付加機能
  • ・電波強度(アンテナの性能)

Wi-Fiルーターを選ぶ際に押さえておくべきポイントを、それぞれご紹介します。

通信規格

Wi-Fiルーターを選ぶ際に最も注目したいのが通信規格です。アメリカに本部があるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)という電気工学・電子工学技術の学会では、電子機器に関するさまざまな基準を定めており、Wi-Fiルーターから発信される電波の品質にも国際規格が定められています。

IEEEが定めた規格のうち、Wi-Fiのような無線LANネットワークに関する重要な規格にあたるのが「IEEE 802」です。1980年2月に定められたため「802」と名付けられており、約40年の歴史があります。その歴史の中でIEEE 802は進化を続け、現在ではさまざまな派生規格が誕生しています。これらをすべて合わせて「IEEE 802シリーズ」と呼ぶこともあります。

Wi-Fiルーターの規格にはさまざまな種類があり、現在の主流は「IEEE 802.11n」と「IEEE 802.11ac」です。IEEE 802.11n対応のWi-Fiルーターは2009年から普及しており、IEEE 802.11acのWi-Fiルーターは2014年から市場に出回り始めています。現在販売されているパソコンやスマホ、タブレットなどの端末の多くがIEEE 802.11acに対応しているため、これからWi-Fiルーターを買う場合はIEEE 802.11ac対応の製品がいいでしょう。

IEEE 802.11acは、周辺のノイズの影響を受けにくく、広範囲で安定的に高速通信が行える点がメリットです。ただし、Wi-Fiルーターと端末のあいだに分厚い壁などの障害があると、電波が途切れてしまう場合があります。また、設定によっては、通信が不安定になったときなどに、IEEE 802.11nなどに自動的に切り替わる場合があります。「通信速度が遅いな」と感じたら、どの通信規格に設定されているか調べてみましょう。

最大速度

IEEEは上位の(より新しい)規格のほうが通信速度は速く、IEEE 802.11nは通信速度が最大600Mbps、IEEE 802.11acでは最大6.9Gbpsとなっています。600Mbpsは、画質のいい約10分の動画の情報を、わずか1秒間で送れるほどの速度になります。

これらの最大通信速度は、あくまで計算上で出された理論値であり、実際にインターネットを利用するときは理論値の半分から3分の1程度になる場合が多いです。ただし、最大通信速度の値が大きいと、実測値もそれに比例して大きくなるため、Wi-Fiルーター選びに迷った場合は最大通信速度が速い製品を選ぶと良いでしょう。

有線LANの速度

Wi-FiルーターにもLANケーブルをつなげる有線端子がついており、有線LANを併用することができます。しかし、低価格帯の一部の製品は、有線LAN端子の速度が遅かったり、端子数が少なかったりする場合もあります。 例えば、1Gbpsの高速の光回線を契約したとしても、Wi-Fiルーターの有線端子やLANケーブルがその速度に対応していなければ、意味がありません。有線LANを使う予定のある方は、Wi-Fiルーター購入前にスペックを必ず確認するようにしましょう。

付加機能

Wi-FiルーターをAP(アクセスポイント)モードで使用した場合、Wi-Fiルーターは「親機」、つながっているパソコンやスマホなどの端末は「子機」という関係にあります。家の中に電波の届きにくい場所がある場合は、電波が届きにくい場所にある子機に集中的に電波を送信できる「ビームフォーミング」機能がついているWi-Fiルーターを選ぶといいでしょう。
また、「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」機能を搭載しているWi-Fiルーターならば、複数端末との同時通信・処理をすることができ、複数台と接続しても通信速度を保つことができます。

ネットのセキュリティが気になる方には、Wi-Fiルーターにセキュリティソフトが内蔵されている機種をおすすめします。すでにパソコンやスマホにセキュリティソフトが入っていても、2重のブロックが効いて、ハッカーによる不正な攻撃や情報漏洩などを防ぐことができます。また、近隣にいる人がWi-Fi(無線LAN)を不正利用する「ただ乗り行為」も排除してくれます。さらに、子供のネットの使いすぎを防ぐため、ネットに接続できる時間帯を制限する機能を搭載している製品もあります。

電波強度(アンテナの性能)

Wi-Fiルーターには、アンテナが外部についているタイプと本体内部に搭載しているタイプがあります。 アンテナが外部についているタイプは、アンテナの向きを変えることで電波の飛ぶ方向を調整できる点がメリットです。アンテナの本数が増えると、複数の方向に電波を飛ばすことができるため、広い部屋や上の階へ電波を飛ばしたい場合は、アンテナの本数が多いWi-Fiルーターを選ぶといいでしょう。

ただし、アンテナは突起物のため、小さい子供がいる家庭やペットを飼っている家庭では、アンテナ内蔵タイプのWi-Fiルーターのほうが安全です。アンテナ内蔵タイプは、どの方向により強力に電波が出ているかわからないのが難点ですが、「Wifi Analyzer」や「Wi-Fi SweetSpots」などのスマホアプリを使えば、Wi-Fiの電波を調べることができます。