Wi-Fiルーターへの接続台数が多くなると通信速度が遅くなる?
LANケーブルを用意しなくてもインターネットを楽しめるWi-Fiルーターが人気ですが、「思ったほど通信速度が出ない」「セキュリティが心配」という声も聞きます。ネットをより快適に、より安全に楽しむためには、どのような点に気を付ければいいのでしょうか?
Wi-Fiルーターを選ぶ際は「接続可能台数」に注目する
ネットに接続する物といえば、昔はパソコン一択でした。しかし、今ではスマホやゲーム機、プリンターなどもネットに接続して使う機会も多くなっています。1人1台スマホを持つのが当たり前になりつつある今の時代、家族全員が一斉にネットを使ってもサクサク快適に動くWi-Fiルーターを選びたいものです。
Wi-Fiルーターには、それぞれ同時接続の推奨台数が定められています。推奨接続台数は、高性能なWi-Fiルーターほど多くなります。家族4人でWi-Fiルーターを使う場合は、最低でも4~5台ほど接続可能な物を選びたいところです。
今後、IoT(モノのインターネット)の活用が進むと、電子レンジや冷蔵庫、掃除機、エアコン、スピーカーなど、さまざまな家電がネット接続されます。IoTが本格化する時代に備えて、10~15台以上の機器を接続できるWi-Fiルーターを準備しておくのもいいかもしれません。
Wi-Fiルーター設定時の注意点
Wi-Fiルーター本体のラベルには、セキュリティキーが記載されています。このキーを端末に入力することで、持ち主自身による接続であるとWi-Fiルーターが認識し、ネット通信が許可されるのです。
Wi-Fiのセキュリティは盤石ではなく、最近では他人のWi-Fiルーターの暗号(セキュリティキー)を解読し、Wi-Fi(無線LAN)を勝手に利用する行為が頻発しています。このような「ただ乗り行為」を行った男が、電波法違反などに問われた件で、2017年4月27日、東京地方裁判所は、無罪判決を言いわたしました(他人のPC端末に侵入した不正アクセスの件は有罪)。今後の法改正がどうなるかはわかりませんが、現在の電波法では、Wi-Fi(無線LAN)のただ乗り行為を罪に問うことはできないのです。
もし、誰かがWi-Fi(無線LAN)の電波を勝手に使ってネット接続をしているとしたら、Wi-Fiルーターを通じて不正アクセスし、パソコンやスマホの大切な情報が壊されたり盗まれたりするおそれもあります。また、たとえ秘密のパスワード(セキュリティキー)を設定していても、IT技術に詳しい人であれば解読できてしまう可能性があります。
たとえただ乗りされても、Wi-Fiルーター自体にセキュリティソフトが内蔵されていれば、端末への不正侵入や情報漏洩のリスクからブロックしてくれます。すでにPCやスマホにセキュリティソフトが入っていれば、2重のブロックが可能になります。また、Wi-Fiルーターの中には、子供がネットサーフィンや動画番組、ネットゲームなどに夜遅くまで夢中になりすぎないよう、ネット接続できる時間帯を制限してくれる機能を搭載している製品もあります。
Wi-Fi接続の暗号化機能について
Wi-Fi接続の暗号化アルゴリズムには、安全性の高いものから「WPA2-PSK(AES)」「WPA2-PSK(TKIP)」「WEP」の3つの方式があります。
WPA2-PSKは、一定時間が経つとWi-Fiルーターがセキュリティキーを自動的に変更します。中でもAES方式は、ネット接続中もセキュリティキーが自動で別の文字列に切り替わります。部外者に一度ただ乗りされても、時間が経てば振り落とせるため、強力な安全性を確保できます。
WEPは、1つのセキュリティキーを固定で使う、従来型の暗号化方式です。WEPにしか対応していないWi-Fiルーターでは、WPA2-PSKのセキュリティは利用できませんので、購入の際には注意して選びましょう。
これらの暗号化がついていないWi-Fiは、街中で使えるいわゆる「フリーWi-Fi」と同じです。便利な反面、ネットワーク内に悪意のあるユーザーがいれば、端末に不正アクセスされる危険も伴います。
Wi-Fiルーター設定時によくあるトラブル
Wi-Fiルーターを使っていると、「電波が途切れがち」「速度が出ない」といったトラブルや悩みが生じることがあります。Wi-Fiルーターと端末との距離が離れすぎていたり、Wi-Fiルーターと端末とのあいだにコンクリートや金属製の壁があったり、電子レンジなど別の電波を発する家電の影響を受けていたりすると、Wi-Fiの電波が届かなかったり、快適にネットを楽しめなかったりする場合があります。
ここで注目したいのが、無線の通信規格です。「IEEE 802.11b」や「IEEE 802.11g」は、壁などの障害物に強いですが、その周波数帯が一般に普及しているため、別の電波のノイズを受けやすい特徴があります。一方、「IEEE 802.11a」や最新の通信規格である「IEEE 802.11ac」は、周囲のノイズには強いのですが、壁などの障害物には弱くなっています。通信規格によって最大通信速度の違いなどもありますので、購入の際はしっかり比較することをおすすめします。