Vol.73 Wi-Fi(無線LAN)の電波が届く距離は?
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

Wi-Fi(無線LAN)の電波が届く距離は?

Wi-Fiルーターを購入するとき「家のどこに電波を届けたいか?」という想定をすると思います。離れやビニールハウスなど、Wi-Fiルーターを置いた部屋から距離のある場所でWi-Fi(無線LAN)を使いたい方もいるでしょう。
「屋外にWi-Fi(無線LAN)の電波を飛ばすことは問題ないか?」「Wi-Fi(無線LAN)の電波はどこまで届くのか?」などについて、参考になる情報をご紹介します。


電波法について

電波は、警察や消防、交通機関の交信など、人の生命や財産に関わるコミュニケーション手段として重要であり、テレビやラジオの放送にも必要です。電波の周波数は無限にあるわけではなく、限りある公共資源ですので、個人が勝手に電波を発信できないのが原則です。そのため、日本の電波法では、Wi-Fi(無線LAN)やトランシーバーなど、「免許を必要としない無線局」の出力上限を定めています。

2010年に改正電波法が公布され、この出力上限は従来の10mWから1000mWへと引き上げられました。しかしこの上限は、現状ではWi-Fiルーターに適応されていません。どんなに「ハイパワー」をうたっているWi-Fiルーターでも、日本国内で正規に販売されている物であれば10mWの上限を超えていないはずです。

Wi-Fiルーターの仕様やカタログスペックを見ても、電波出力が記載された物をあまり見かけないのはこのためです。各メーカーとも10mWという上限ギリギリに設定しているため、電波出力では差別化が図れないからです。

屋外で5GHz帯の電波は使えない!

電波法により、5GHz帯の電波を屋外で勝手に使用することは禁じられています。なぜなら、GPS衛星や気象衛星、航空無線などとその関連施設で、5GHz帯の電波が使用されているからです。これらの公共の電波と干渉して、GPSなどの運用に支障をきたすことを防ぐため、民間人が5GHz帯の電波を屋外で使うことは、原則として認められていないのです。 (一部外部での使用が許可されている周波数もあります。)

5GHz帯の電波を使用するWi-Fiルーターの通信規格には、IEEE 802.11acやIEEE 802.11nなどがあります。家の庭やビニールハウスなど、屋外で電波を使いたい場合は、2.4GHz帯の電波を使用するIEEE 802.11nやIEEE 802.11gのWi-Fiルーターを使用しましょう。

Wi-Fi(無線LAN)の電波はどこまで届く?

エレコムの製品紹介ページでは、「マンションなら何LDK程度、戸建なら○階建程度」という目安を提示しています。例えば、「 WRC-2533GST」の推奨環境は「マンション4LDK、戸建3階建」です。これらはあくまでも目安であって、必ず電波が届くことを保証するものではありません。購入の際の参考としてご利用ください。

Wi-Fi(無線LAN)の電波は、障害物のない屋外の場合、条件が良ければ直線距離で50~100mほど飛ぶといわれています。一方で、鉄筋コンクリートや大理石などの障害物があると、Wi-Fi(無線LAN)の電波が遮断され、Wi-Fiルーターから距離が近くても途切れやすくなります。床暖房や断熱材にも金属が含まれていますので、これらが建材として使われていると、Wi-Fi(無線LAN)の電波を通しにくくなり、通信が不安定になることがあります。

Wi-Fi(無線LAN)を室内で使う場合は、インターネット利用が必要な範囲のできるだけ中央にWi-Fiルーターを設置することが望ましいです。

通信速度を向上させる「MU-MIMO」

複数のアンテナを束ねて使い、通信速度を向上させる「MU-MIMO(Multiple Input Multiple Output)」という技術もあります。エレコムのWi-Fiルーターでは、「WRC-2533GST」「WRC-2533GST2」「WRC-1900GST2」「WRC-1167GHBK2-S」などの機種が「MU-MIMO」を搭載しています。

最新のWi-Fiルーターには、パソコンやスマホが存在する方向を自動的に検知して、その方向へ集中的に電波を送る「ビームフォーミング」機能が搭載されている機種もあります。