Vol.32 ワイヤレスLAN使用時の調子が悪い……その原因「干渉」について
エレコムWi-Fi製品購入ガイド無線LANの基礎知識

ワイヤレスLAN使用時の調子が悪い……
その原因「干渉」について

ワイヤレスLAN(無線LAN、Wi-Fiともいいます)は、LANケーブルで接続する有線LANに比べ、使用する場所の自由度が増す一方で「通信速度が遅い」「雑音・騒音が入る」という問題が出てくる可能性があります。なぜそのような現象が起こるのか……実は「電波干渉」という状況によって起こっているのです。

トラブルの元凶「電波干渉」とは?

ワイヤレスLANのルーターなどには、通信速度の理論最大値が明記されていますが、理論値そのままの速度で接続できる環境ばかりではありません。また実際の通信速度においては、理論値よりも格段に通信速度が落ちてしまうこともあります。

「LANは接続されているのに、いつもより遅いな」……このようなときは「電波干渉」という状況が考えられます。

電波干渉とは、同じ周波数の中に多くの無線が飛び込んでしまい、それぞれの無線がぶつかり合うことで速度の低下を招くことです。簡単にいうと、高速道路にジャンクションを作り過ぎて渋滞を引き起こしている、というような感じです。

具体的に何が起こっているのか?

電波干渉では以下のような2つのパターンが考えられます。

  • 1. 複数の無線LANが同じ周波数上で限られた帯域を奪い合う
  • 2. 無線LANシステムに家電などによる異なる電磁波が重なってシステムに悪影響を与える

1のパターンでは、ノートパソコンやタブレットが近い地域に複数存在し、別々の無線LANシステムを同じ周波数を使用している場合に起こります。2のパターンでは、無線LANシステムは1つしかなくても、電子レンジなどの強力な電磁波を発生させる家電が無線LANシステムに大きな影響を与えてしまうことがあります。

ワイヤレスLANを電波干渉から守る方法

現代社会のように無数の電波が飛んでいる状況では、電波干渉は起こるべくして起こってしまいます。完全な回避方法というのは確立されていませんが、電波干渉の影響をできるだけ抑えることはできますので、その方法を紹介します。

電磁波を発生する家電から離れる

電子レンジなどの家電は2.4MHzの周波数の電磁波を出しています。この周波数は、ワイヤレスLANでも多く使用されている周波数なので、電波干渉を起こしてしまいます。このように電磁波を発生する家電からは少しでも離れて無線LANネットワークを構築すると、余計な電磁波からネットワークを守ることができます。

無線ルーターのチャネルを変える

近隣の無線LAN環境とのバッティングを起こしている可能性が考えられる場合(多くのノートパソコンやタブレットでは、近くに飛んでいる無線LANの電波がどれくらいあるかをチェックできます)、無線ルーターのチャネルを変えることで回避できる場合があります。高速道路の例えでいうと、新しい車線を新たに作り出すということです。もとの高速道路と同じ場所を走ることになるので、多少の影響は出てしまう可能性がありますが、以前の状態のままで走るよりは渋滞が起きにくい、という状況になります。

無線の帯域を追加する

2.4GHzの電波を利用する802.11b/g/nという規格の無線LANの場合、家電などでも利用されている関係上、特に電波干渉が起きるケースが多くなっています。そのため、最新の無線LAN規格である802.11acに対応した無線LANルーターと子機を導入する、という方法もあります。11acでは、5GHz帯の電波を利用しているため、干渉が起きる可能性を大きく減らす事が可能です。11ac対応のルーターであれば、5GHz帯を利用した快適な通信だけでなく、既存の2.4GHz帯を利用した機器との通信も可能です。

臨機応変に対応して快適なネットワーク構築を

いかがでしたか? 無線という性質上、他の電波と影響し合うことは仕方ないにしても、少しでもいいパフォーマンスができるような工夫はありますので、最近インターネットの調子があまりよくないという人は、参考にしてみてください。