無線LANの規格と通信速度の関係
無線LAN(Wi-Fi)には6つの通信規格と3つの周波数帯が存在します。それぞれ通信速度や特性が異なりますので、無線LANルーターを購入する際は、その内容をよく把握して選びましょう。
無線LAN(Wi-Fi)規格の種類と周波数帯
一口に無線LAN(Wi-Fi)といっても、2Mbps(※)程度の低速でしか通信できないものから、ギガバイト単位で通信できる高速のものまで、規格によって通信速度が変わってきます。
Wi-Fi Allianceが定めたWi-Fi(無線LAN)規格のうち、最初に規格統一されたのが「IEEE 802.11」です。1997年6月に策定されたこの規格は、最大通信速度が2Mbpsという当時としては画期的なスピードでしたが、今では極めて低速に感じます。
その後、Wi-Fi規格は年を追うごとに電波干渉を抑えながら高速通信できる技術が開発され、「IEEE 802.11xx」(規格ごとに「xx」部分のアルファベットが変わり、一般的に「11xx」のみで呼ばれます)と名付けられた新しい規格が次々と発表されています。
※「bps」とは、1秒間に転送されるbit数を表す通信速度の単位のこと。
現在主流の無線LAN規格は「11ac」
2014年1月に290Mbps~6.9Gbpsの通信速度を持つ「11ac」が登場。これが、現在主流の無線LAN規格となっています。
それ以外に、「11ad」という最大通信速度6.7Gbpsのスピードを持つ規格も登場していますが、これに対応する無線LANルーターがまだほとんどないのが現状です。その理由としては、電波が遮蔽物に弱いことと、デバイス側の対応が進んでいないことが挙げられます。
また、インターネット回線自体の通信速度が速くて1Gbps、最速でも2Gbpsという状態では、無線LANルーターがそれ以上の通信速度を出せても意味がないという状況もあります。そのため、11adが普及していくのはこれからになりそうです。
各周波数帯のメリット・デメリット
無線LAN規格には、最大通信速度以外にも通信に使われる周波数帯の違いもあります。おもに2.4GHz帯、5GHz帯の周波数が使われており、それぞれメリット・デメリットは以下になります。
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<2.4GHz帯>
- メリット:障害物などに強い
- デメリット:電子レンジをはじめとしたBluetoothやマウス、無線キーボードなど、電波を出す機器と干渉しやすい
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<5GHz帯>
- メリット:同じ周波数帯を使用する機器がないため、電波干渉がほとんどない
- デメリット:障害物などには比較的弱い
また、最新の無線LAN規格である「11ad」の周波数帯はそのどちらでもなく、60GHz帯を使用しています。Wi-Fiが普及して2.4GHz帯と5GHz帯の周波数帯が逼迫してきたことにより、この周波数帯が採用されたという理由があります。
この周波数帯は非常に電波の直進性が高く、利用距離も約10m程度と短くなっているため、狭い範囲内で高速に通信したいという場合に適しているといえます。
<無線LANの通信規格・使用周波数帯とその特徴>
無線LAN規格名 | 最大通信速度 | 使用周波数帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
IEEE 802.11b | 11Mbps ※オプション規格の22Mbpsもあり |
2.4GHz帯 | 障害物に強い、電波干渉を受けやすい |
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 | 障害物に弱い、電波干渉を受けにくい |
IEEE 802.11g | 65Mbps~600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 ※自動的に周波数帯を切り替えて接続可能 |
2.4GHz帯:障害物に強い、電波干渉を受けやすい 5GHz帯:障害物に弱い、電波干渉を受けにくい |
IEEE 802.11ac | 290Mbps~6.9Gbps | 5GHz帯 | 障害物に弱い、電波干渉を受けにくい |
IEEE 802.11ad | 6.7Gbps | 60GHz帯 | 電波の直進性が高い、到達距離が短い |
無線LAN(Wi-Fi)に接続する際の注意点
通信規格は11acが主流になっているとはいえ、自身のデバイスでは11acの実力が発揮できない場合もあります。それはいったい、なぜなのでしょうか。
・デバイスが通信規格に対応しているかどうか
無線LANルーターで接続する際に最も気を付けたいのは、無線LANルーターとデバイスがそれぞれの通信規格に対応しているかどうかです。
無線LANルーターに関していえば、最新の上位モデルであれば現行の通信規格(11a/b/g/n/ac)のすべてに対応していますが、下位モデルは11n/g/b」だけにしか対応していないこともあります。
また、無線LANルーターが対応している通信規格でも、デバイス側が対応していないとその通信規格の速度は出ません。例えば、11acが策定された2014年より以前に発売されたデバイスは、11acに対応していない可能性があるため、高速な通信はできないかもしれません。
・無線LAN中継器・無線LAN子機の影響
障害物や間取りの関係で、Wi-Fi電波を家中に飛ばすための無線LAN中継器を使っている場合、あるいはパソコンに無線LAN機能が内蔵されていないために無線LAN子機を使う場合は、通信速度が上がらないことがあります。
また、無線LAN中継器や無線LAN子機が11acに対応していない可能性もありますので、それらの機器をチェックしてみることをおすすめします。