自宅&会社で使える!Wi-Fiルーターを2台以上に増設して無線LAN環境を改善する方法
スマホやタブレット、PCだけでなく、ゲーム機やテレビ、照明など、無線LANを使用する機器が増えている現在、自宅に設置したWi-Fiルーターが1台では足りないという人もいるでしょう。また、オフィスや店舗などで無線LANを利用している場合、「この場所は電波が弱い」「よく切断する」といったトラブルを抱えている人は多いのではないでしょうか。
そのような無線LAN環境を改善するためには、どのような方法があるのでしょうか?また、Wi-Fiルーターを複数台使用したほうが良いのは、どのような場面でしょうか?自宅とビジネスシーン、それぞれの使用環境に合ったWi-Fiルーターの見直し方法をまとめました。
Wi-Fiルーターを増設するまえに設置場所の見直しを図ろう
Wi-Fiルーターは、本体(アンテナ)から電波を全球状に飛ばします。そのため、部屋の間取りや広さによって、無線LANの電波が届きにくい場所が出てくる可能性があります。例えば、無線LANの電波は、コンクリートや金属などの障害物を苦手としているため、鉄筋コンクリートの壁などにぶつかると弱まってしまうことがあります。また、設置した場所が水回りに近い場合も、水が電波を吸収しやすい性質を持っているため、本来の到達距離より短くなったり、途切れがちになったりしてしまいます。さらに、インテリアに気を配ってWi-Fiルーターをケースに入れたり、戸棚などにしまったりすることでも、電波は遠くまで届きにくくなります。
ほかにも、建物の構造や高低差、家具などの配置によっても電波が思ったほど届かないケースがあります。電波が微弱だったり、よく切断されたりする症状が現れたときは、まずWi-Fiルーターの設置場所を見直してみましょう。このとき、周りに物がないからといって床に直置きすると、本体の下半分(半球)に送られる電波が床で乱反射し、電波が届きにくい場所が生じやすくなります。できれば、1m程度の高さがあるテーブルや棚などに置くようにしてください。
端末が多すぎる場合はWi-Fiルーターの増設で対応
Wi-Fiルーターには無限に端末をつなげられるわけではなく、6台までや10台までなど、接続推奨台数が決まっています。この台数を超えてWi-Fiルーターに端末を接続してしまうと、通信速度が大幅に低下したり、接続が突然切れたりすることもあります。
例えば、家族4人で暮らしている家に、端末の接続推奨台数が「10台」というWi-Fiルーターを導入した場合、4人それぞれが自分のスマホやタブレット、PCなどをWi-Fiルーターにつないだままにすると、すぐに接続推奨台数を上回ってしまいます。この場合は、Wi-Fiルーターをもう1台増設することで、通信環境が改善するでしょう。
しかし、新しいWi-Fiルーターを導入すると、電波干渉によって回線が不安定になる場合もあります。また、集合住宅の場合、近隣も同じような時間帯に無線LANを利用することで、回線速度に影響が出ていることも考えられるため、台数を増やすことで電波状況が改善するとは限りません。Wi-Fiルーターはこちら
弱くなった電波を増幅する中継器
通信環境改善のために役に立つのが、電波を継ぎ足す「中継器」です。中継器をWi-Fiルーター(親機)の設置場所と電波が弱くなっている場所の中間(電波の到達を阻害している物の近く)に置くと、一度弱まった電波が再び強くなり、より遠くに届くようになります。
取扱いも簡単で、「WPS」などの自動設定機能を搭載している製品が大半ですから、親機との接続で困ることはありません。また、コンセントに直接差し込むタイプの中継器を選べば、設置場所に悩む必要もないでしょう。なお、価格は性能と比例していて、電波を拡張できる広さ(部屋数)や高低差(フロア数)が大きいほど値段も高くなります。しかし、Wi-Fiルーターを新たに購入するより安価ですから、検討の余地は十分にあるでしょう。Wi-Fi中継器はこちら
新機種を親機に、旧型をアクセスポイントにする
最新のWi-Fiルーターを購入してメイン(親機)に据え、古いWi-Fiルーターを中継器代わりに設置し直すのもいいでしょう。この場合は、古いWi-Fiルーターを「中継器モード」や「APモード(アクセスポイントモード)」に切り替えるようにします。この方法でアクセスポイントが増えると、スマホやPCなどの端末はWi-Fiに接続しやすくなりますが、元々のネット回線が強化されるわけではありませんので、端末のつなぎ過ぎには注意してください。
ちなみに、この方法を選択して、新しいWi-Fiルーターを購入する場合は、「同時接続数」が多い製品を選ぶこともポイントです。同時接続数は、そこに示された台数の端末が同時に接続しても回線速度(品質)を守れることを示していますから、多ければ多いほど性能がいいということになります。
また、Wi-Fiルーターが増えたことによって電波干渉の発生が疑われた場合は、「チャンネル設定」を変更することで解消することがあります。設定は基本的にPC上で行うものですが、Wi-Fiでの接続ではなく、必ず有線LANケーブルでPCとルーターをつないで作業するようにしましょう。
法人向けアクセスポイント(中継器)の特徴
法人向けのアクセスポイントは、そもそも「増設」が前提となっています。
本店、支店、営業所がある、比較的大規模な企業においては、これら複数の拠点をネットワークでつなぐIPsecなどに対応したVPNが事業所ごとにあり、ルーターやアクセスポイントを必要に応じていくつか設置していくことになります。端末の同時接続台数が増えたり、オフィス内で電波の届きにくい場所が生じたりした場合に、アクセスポイントの増設を行うのです。
ここでは、法人向けアクセスポイントの特徴をご紹介します。
特徴1 端末の同時接続数の多さ
法人向けのアクセスポイントは、家庭用の物より高性能のCPU(中央演算処理装置)が搭載されていることが多くなっています。法人向けアクセスポイントは、家庭用よりも多くの端末の同時接続数が求められますし、接続負荷の限界を超えようとしているときも、(通信速度が遅くなることはあれ)決してネット接続が切れないように持ちこたえる、高い処理能力が必要となるからです。
特徴2 ローミング機能
複数のアクセスポイントを同じ無線LANネットワークに設置しているとき、利用者がPCやスマホを持ちながら移動しても、お互いのアクセスポイントが連携し合いながらネット接続を途切れさせない「ローミング機能」が備わっているものがあります。
特徴3 マルチSSID機能
マルチSSID機能も、法人向けアクセスポイントが持っている特徴のひとつです。通常のアクセスポイントでは、SSIDはひとつです。そのSSIDに割り当てられた端末が、無線LANの上でひとつのネットワークを形作ります。一方で、1台に複数のSSIDを持つ、マルチSSID対応のアクセスポイントであれば、例えばアクセスポイントにつながっている15台のPCを、業務の必要に応じて10台と5台の2グループに分けることができます。マルチSSID対応のアクセスポイント1台だけで、複数のネットワークを構築できるのです。
特徴4 PoE受電
オフィススペースの節約のため、天井近くの壁面にWi-Fiルーターを設置している企業も多くなりました。高所にWi-Fiルーターを設置する場合は、電源コードよりも、LANケーブルから電力が供給される「PoE受電」機能が便利です。