
Wi-Fiルーターの選び方、5つのポイントを解説
Wi-Fi(無線LAN)を使うには、電波を飛ばすための「Wi-Fiルーター」が必要です。Wi-Fiルーターには、モデムに接続して自宅のインターネット環境をつくる据え置き型や、外出先や旅行先にも気軽に持ち運べるポータブルWi-Fiルーターなど、さまざまなタイプがあります。
では、Wi-Fiルーターを選ぶときには、どのような性能や機能を判断基準にすればよいのでしょうか。
Wi-Fiルーターの選び方
最初にお伝えしておくと、一般的な家庭用・オフィス用の機器では、「無線ルーター」「無線LANルーター」「Wi-Fiルーター」という言葉は、ほぼ同じ意味で使われています(「ルータ」と表記されていても同じです)。このページでは、表現を統一するために「Wi-Fiルーター」と呼ぶことにします。
Wi-Fiルーターの基本的な性能は、おもに次の5つのポイントで確認できます。
- ・通信規格
- ・最高速度
- ・有線LANの速度
- ・付加機能
- ・電波強度(アンテナの性能)
それぞれのポイントについて、選ぶときに押さえておきたい点をご紹介します。
通信規格
Wi-Fiルーター選びでまず確認したいのが「通信規格」です。Wi-Fiの規格は、アメリカに本部を置くIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)という学会が定めている「IEEE 802.11」というルールに基づいています。
「IEEE 802.11」には複数のバージョンがあり、一般的には次のように呼ばれています。
- ・IEEE 802.11n(いわゆる Wi-Fi 4)
- ・IEEE 802.11ac(いわゆる Wi-Fi 5)
- ・IEEE 802.11ax(いわゆる Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E)
従来はIEEE 802.11nやIEEE 802.11acが主流でしたが、最近はより高速・多数同時接続に強いIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応のWi-Fiルーターも増えています。現在販売されているパソコンやスマートフォン、タブレットなども、Wi-Fi 5(11ac)またはWi-Fi 6(11ax)に対応している機種が一般的です。
これからWi-Fiルーターを購入する場合は、少なくともIEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)対応、できればIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応の製品を選んでおくと、長く快適に使いやすくなります。
なお、規格によって使う周波数帯(2.4GHz帯・5GHz帯など)が異なり、障害物への強さやノイズの影響の受けにくさも変わります。Wi-Fi 5/6対応ルーターの多くは複数の周波数帯に対応しており、状況に応じて自動的に帯域を切り替える機能を持つものもあります。
最大通信速度
Wi-Fiルーターの仕様などには、「最大◯◯Mbps」「最大◯◯Gbps」といった表記があります。これは、先ほどの通信規格ごとに定められた「理論上の最大速度」を表しています。
たとえば、おおよその目安としては次のようになります(ルーターのアンテナ数や構成により異なります)。
- ・IEEE 802.11n(Wi-Fi 4):最大600Mbpsクラス
- ・IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5):最大数Gbpsクラス
- ・IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6):最大数Gbps〜10Gbpsクラス
ただし、これらはあくまで理論値であり、実際にインターネットを利用するときは、回線状況や環境の影響で、理論値の半分〜3分の1程度になることが多いと考えてください。とはいえ、最大通信速度の値が大きいほど、実際の通信速度も余裕を持ちやすくなります。
家庭で動画視聴やWeb閲覧、オンライン会議を行う程度であれば、Wi-Fi 5対応で数百Mbpsクラスの速度が出れば、十分に快適に利用できます。複数人での同時利用や、より高速なダウンロード・アップロードを重視する場合は、Wi-Fi 6対応で最大速度の大きいモデルを選んでおくと安心です。
有線LANの速度
Wi-Fiルーターの多くには、LANケーブルを接続する有線LANポートが搭載されており、Wi-Fiとあわせて有線接続も利用できます。ただし、製品によっては有線LANポートの速度やポート数に差があります。
たとえば、1Gbpsの光回線を契約していても、Wi-Fiルーター側の有線LANポートが100Mbpsまでの対応だったり、古いLANケーブルを使用していたりすると、回線の性能を十分に活かしきれません。
有線LANで安定した高速通信を行いたい場合は、次の点を確認しましょう。
- ・Wi-Fiルーターの有線LANポートが「ギガビット対応(1000BASE T)」になっているか
- ・使用するLANケーブルが「CAT5e」以上(できればCAT6やCAT6A)に対応しているか
オンラインゲームや大容量データのやり取りなど、特に安定性や速度を重視する用途では、Wi-Fiだけでなく有線LAN接続も組み合わせて使うのがおすすめです。
付加機能
最近のWi-Fiルーターには、基本的な通信機能に加えて、さまざまな便利機能が搭載されています。代表的なものをいくつかご紹介します。
・ビームフォーミング
Wi-Fiルーターをアクセスポイント(AP)モードで使用した場合、Wi-Fiルーターは「親機」、接続するパソコンやスマホなどは「子機」という関係になります。ビームフォーミング機能を搭載したWi-Fiルーターであれば、接続中の子機の方向を検知し、その方向へ集中的に電波を送ることで、電波の届きにくい場所でもつながりやすくなります。
・MU MIMO(マルチユーザーMIMO)
MU MIMO機能に対応したWi-Fiルーターは、複数の端末と同時に通信・処理を行うことができます。家族でスマホやタブレット、テレビなど複数の機器を同時に使う場合でも、通信の混雑を軽減し、速度低下を抑えやすくなります。
・セキュリティ機能br /> インターネットのセキュリティが気になる場合は、Wi-Fiルーター本体にセキュリティ機能を備えた製品を選ぶのも一つの方法です。パソコンやスマホ単体のセキュリティソフトに加えて、ルーター側でも不正アクセスや危険な通信をブロックすることで、多重の防御が期待できます。また、Wi-Fiの不正利用(いわゆる「ただ乗り」)を防止する機能や、子どものネット利用時間を制限するペアレンタルコントロール機能を備えた製品もあります。
・その他の機能
USBポートを搭載し、外付けHDDを接続して簡易NASのように使えるモデルや、ゲスト用Wi-Fi、メッシュWi-Fiシステムと連携できるモデルなどもあります。必要な機能と予算のバランスを見ながら、自分の使い方に合った機能を持つWi-Fiルーターを選びましょう。
電波強度(アンテナの性能)
Wi‑Fiルーターの電波の届きやすさは、アンテナの性能や配置によっても変わります。アンテナが外側に出ているタイプと、本体内部に内蔵されているタイプがあり、それぞれ次のような特徴があります。
・外付けアンテナタイプ
アンテナが外部についているタイプは、アンテナの向きを変えることで電波の飛ぶ方向をある程度調整できるのがメリットです。アンテナの本数が多いモデルほど、複数の方向に電波を飛ばしやすく、広いフロアや別の階にも電波を届けたい場合に適しています。
・アンテナ内蔵タイプ
アンテナを本体内部に内蔵したタイプは、見た目がすっきりしており、アンテナが突き出していないぶん、小さい子どもやペットがいるご家庭でも安心して設置しやすいという利点があります。一方で、どの方向により強い電波が出ているかが分かりにくいため、設置場所を工夫することが大切です。
アンテナ内蔵タイプをお使いの場合でも、「WiFi Analyzer」や「Wi‑Fi SweetSpots」といったスマートフォン用アプリを利用すれば、部屋ごとの電波状況を確認できます。実際に電波が弱い場所を把握し、ルーターの設置場所や向きを調整してみるとよいでしょう。